あおばくんのあたまん中 vol.5

〈取材・編集・構成・写真〉 大石倫子

 

 

[vol.1 演劇との出会い]

[vol.2 演劇でしか出来ないこと]

[vol.3 ストーリー以外の楽しさ]

[vol.4 Cygとの出会い]

 

 

vol.5 チャレンジすること

 

 

あおば:Cygが始まった時から、演劇のことは調査していたんですが?

 

しみず:まず、アーティストを調査するというところがギャラリーとして大事なところだと思うので、常に東北各地の情報を集めてはいるんですよね。それで盛岡では演劇が盛んなので、Cygがスタートしてからは意識的に観に行くようにしてました。広報の方法、チケットの価格帯、演劇に熱心な高校はどことか、どこの大学生が多いか、役者さんはどこで働いているか、とか。だんだんわかってきて。

 

あおば:なんか目の付け所が違いますね! そういうところが気になるんだ…

 

しみず:あはは!そうだよね。実はそういうのってすごく重要なんです。うまく表現活動を続けている人はどういう環境を作っているのか。

 

あおば:うわー。見られてるんだ〜。

 

しみず:いや、詮索しているとかではないですよ!今の状況を知ることで、次どうなればいいかを考えているんです。それにしても、演劇に関してはまだ分からない部分があるので、青葉くんからも色々と教えてもらいたいと思っているんですけれども。

 

あおば:いえいえ! こちらこそ、よろしくお願いします。

 

しみず:ところで、今回、『演劇ユニットせのび』の公演は、Cygというギャラリー空間での公演となるわけなんですが、劇場以外の場所を使った演劇っていうのはよくあるのかな?

 

あおば:都市部に行くと、結構普通だったりします。

 

しみず:パフォーマンスとアートという繋がりを考えたら、ギャラリーでやるっていうのは新鮮な印象ではあるけれども、かけ離れたものではないよね。

 

あおば:最初に清水さんから声をかけてもらった時は、『せのび』の今後の予定も決めていなかったですし、演劇ユニットとしてどうなって行くのかも未定で。ただ以前から、ギャラリー空間というのはすごく興味がありまして。

 

しみず:そう言ってもらえると嬉しいです。なんでギャラリー空間に興味があったのかな?

 

あおば:好きなアーティストの『たむらぱん』のライブを観に行ったことがあったんです。それがギャラリー空間に本人が描いた絵もあって、ライブもやって、合間に絵も描いたりして。

 

しみず:そのライブが印象的だったんですね。

 

あおば:ギャラリーはいろんなことができるし、観客も演劇よりも能動的に参加してるような感じがしたんです。演劇は、観客席、舞台と隔離されている感じがあって、受動的な部分もありますよね。

 

しみず:段差があるステージがあると、そこだけ別世界という感じはするよね。

 

あおば:僕はなるべくお客さんを巻き込んで心に触れるような演劇をしたいと思っているんです。ギャラリーでやれば、それが可能なんじゃないかなと。それでお話を頂いた時には、すごく前向きにイメージできました。お客さんを巻き込めるように、いろいろと工夫もできればいいなと思っています。

 

しみず:サイズもかなり小さいから、とてつもなく近いところで演技が行われるっていうところがドキドキするところでもあるよね。

 

あおば:最大で40名くらいですもんね。演じる側もどうなるのか、ドキドキします!

 

しみず:それにしても、今回の公演、ずいぶん面白いタイトルにしたよね。『どこかの国のアリス、あるいはなんとかランドのピーターパン』だもん! アリスとピーターパンの組み合わせの面白さというか。

 

あおば:アリスってすごい面白いなと思うところが、なんでもあり、な世界というか。その何でもありな世界が成立しているところがすごいなと。結局は、夢オチだから、何でもありなんですけれどもね。その、なんでもあり、な展開そのものが演劇に近いというか、演劇との親和性が強いんじゃないかなと。それはちょっと前から思っていたんです。

 

しみず:ちなみに、原作は文章で読んでみたの?

 

あおば:日本語の原作を読みました。映像で見ようかなと思ったんですが、変な先入観が入るのが嫌だなと思ったので、あえて観なかったです。

 

しみず:アリスというと、なんだか、周りにすごい振り回されるっていうイメージあるんだよね。


あおば:その印象を聞くと、今回うまくいったかも、と思えました! 今まで客観的な印象って聞いてなかったので。「アリスと言ったらこう!」みたいなイメージがそうであれば、今回の公演は楽しんでもらえると思います。

 

しみず:それにしても、何でそこにピーターパンもくっつけたのかが不思議で。オファーがあってから、そこから脚本書き始めたのかな?

 

あおば:アイデアは常に何本かあるんですが…アリスの世界はやりたいなと思っていたんですよね。そこに後から、ピーターパンを重ねた方が面白いなと思ったんですよね。

 

しみず:そこに重ねようと思ったのがすごいね。

 

あおば:自分の境遇を書くというのが相変わらずでして。大学四年生で、進路がまずわからない。将来どうなるのかもわからない。でも演劇をやりたい、就職している人もいれば、このままでいいのか?そんな気持ちもありつつ。

 

しみず:そういうのを決断しなければいけないタイミングだよね。

 

あおば:未来が全くわからないその状況が、アリスの次に何があるかわからない世界に重ねられるかな、というのがありまして。あとは、ピーターパンは永遠の子供というか、ネバーランドのピーターパンは年を取らない、というのが羨ましいよな、とか。自分を中心に置くと、アリスの世界とピーターパン世界が重なるかなと思いました。そこから書き出しました。

 

しみず:最初に会った時に、アイデア段階の話はしていたよね。

 

あおば:怖かったのが、第1回公演の『なくなりはしないで』とは、180°違う方向の劇なので、大丈夫かなっていうのがあって…

 

しみず:このアリスの案を最初に言われた時は、正直びっくりしました。『なくなりはしないで』の完成度が高かったので、これだとどうなるんだろうとか、前回のを期待している人もいるかなとか。何にしてもCygとしてどう宣伝していこうかな、というのは考えました。今となっては、青葉くんの幅を見せるっていう意味としては、2回目のプレゼンとしてはすごくいいんじゃないかなと思っています。前回は、本当にシンプルな作品だったので。

 

あおば:あーー良かったです!!

 

しみず:ただ、アリスとかピーターパンも有名だから、そのイメージと戦うっていうのは、かなり難しい部分もあるかとは思う。そういう意味で、舞台美術をイラストレーターの工藤陽之さんに頼めたらいいなというのは考えていました。青葉くんに会った時の最初の印象が、工藤ちゃんの印象とちょっと近いな、と。なんかね、どう生きていきたいかが似てる、っていうか…

 

初期の舞台美術のためのイメージ。登場人物のイラストや、実際の小さな模型でイメージを共有していった。

 

あおば:それどういう感じですか?

 

しみず:鋭さを持っているんだけれども、少年的な雰囲気というか。工藤ちゃんは結構年上なんですけれども。あと「せのび」っていう言葉とも、なんか合うかなって。

 

あおば:そんな風に見られていたんですね。

 

しみず:相性としてはそう思ったんです。もうひとつは今までCygを観てきた人にとって、演劇だから足が遠のくみたいな感じにしたくなかったので、今までCygで展示をしてきた人と組み合わせることによって、興味を持ってくれる人がいるんじゃないかと思ったんですね。舞台美術案を見せてもらった時は青葉くんどう思いました?

 

あおば:工藤さんすごく面白い人ですよね。出てくるアイディアが新鮮というか、ないものをくれるというか。そのアイデアを、頂いたことでさらに扉が開くというか、次々広がって行くというような感じがしました。ビジュアルで作品の雰囲気を汲んでいただけるので、こういう感じにしたいということが、イメージがしやすいんです。

 

しみず:工藤ちゃん自身も、舞台美術が初だから怯えています(笑)僕も舞台美術やってるからわかるんですが、なかなか平面の仕事をしている人にとっては分からないんです。サイズ感も違うので。別の頭を使う感じ。わかんないんです。でもビジュアルを作る立場だからこそ見える部分があるんですよね。実際の脚本に必要な要素もあるんだけど、そればっかりになっても面白くならないし。

 

あおば:そうなんですね。

 

しみず:工藤ちゃんはとりあえずイラストレーターなので、「とにかくイラストを描いて」ということをお願いしました。イメージを作って行くのが大事なので。ここからどうなるかは、いま工藤ちゃんの頭の中で起きているので、想像はつかないけれども。

 

あおば:いろいろ試作もしてくれたり、イラストもたくさん描いてもらってたりで、本当にどうなるのかが楽しみですよね。別の業種の方と組むのは面白いです。それだけで発見があって成長できるというか。

 

しみず:最後になりましたが、今回の舞台の目標ってありますか? こうなったらいいなみたいな。

 

あおば:僕が劇作をしている時に常に心がけているのは、観にきて頂いたお客様の心に、何か残って欲しいなということなんです。今回のテーマとしては…どこまで話していいのか難しいんですけれども、『子供心はいつまでも残しておきたい』っていうことなんですよね。それを観にきてもらった人の中に、子供の頃みたいな気持ちが起こって、外に外に広がっていけばいいな、と。

 

しみず:ネタバレになっちゃうので、どこまで言うか迷うよね。

 

あおば:それと、とにかく前回とは違う「演劇ユニットせのび」を楽しんでもらいたいです。

 

しみず:演劇用にできてないスペースなので、青葉くんがCygでやりたい!と思ってくれたというのも嬉しいことなんです。お客さんにぶつけてみて、反応を見たいというか。学生が主体となっている演劇って、外部の人がくるっていうタイミングはそんなにないと思うので、そこを崩してみたいんです。

 

あおば:本当にそうなんです。だから、ありがたいチャンスだなと思っています。チャンスを生かすためにも守りはもうやめました。 攻め攻めで!

 

しみず:いいね。とんがってなんぼです。出まくる杭になってほしいと思っています。せっかくの出会いなのでサポートしますね!これからもよろしくお願いします。

 

 

〈おわり〉

 

 

 

 

演劇ユニットせのび 第2回公演
『どこかの国のアリス、あるいはなんとかランドのピーターパン』

Cyg art gallery

 

2016年
11月3日(木)14:00-
11月3日(木)18:00-
11月4日(金)19:30-
11月5日(土)14:00-
11月5日(土)19:30-
11月6日(日)11:00-
11月6日(日)15:00-
※開場は各30分前 ​※上演時間は100分程度を予定

 

チケット:

学生1,000円(当日1,300円) 
一般1,500円(当日1,800円)

Cyg art galleryにて販売中

 

企画:シグと村田青葉

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